「彼女たちの時代」というドラマがありました。 むかし。

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たぶん、人が生きていくのって、面白くないしカッコ悪いことだらけなんだ。
ドラマチックな出来事なんて、そんなあるわけじゃない。
小さな小さな日常が、ずっとずっと永遠と続いているだけなんだ。
自分って何なんだろう。自分は何のために生きているんだろう。
その問いの答えなんて、きっとどこにもないんだ。

でも今、あたしは思う。

同じように悩んでいる人がいる。同じように答えを出せずにいる人がいる。
あたしだけじゃないんだ。
そう思えただけで、よかったと思う。
それにきっと、きっと今こんなふうにもがいていることは、無駄じゃないはずだ。
絶対無駄じゃないはずだ。
そう思えることが出来たから。たとえ、今の自分に何もなくても・・・。

きっと、人がどんなに羨ましいと思う仕事にだって、
辛いことはあるんだと思う。
そしてどんなにつまらないと思っている仕事にも、
それなりに喜びがないわけではないんだ。
日常って、多分そういうものなんだ。
でもだからこそ複雑なんだと思う。
いっそ死ぬほど嫌だったら、何の喜びもなかったら、
もっと気持ちは簡単だと思うのだ。
日常の中に、時々そんな喜びがあるだけに、
ふと我に返ってそんなことで喜んでる自分を発見したとき、
そんな自分がひどく小さく思えてしまうのは私だけなんだろうか。
それは結局、贅沢な悩みでしかないんだろうか。

そう、日常なんてきっと、こんなものなんだ。
でも、でも、小さな喜びなのかも知れないけど
私はぜったいこの海を忘れないような気がした。
どんな素敵な南の島の海より、私にはこの海は輝いて見えた。

よくテレビや雑誌では、
前向きに生きよう 前向きに生きよう と
まるでバカの一つ覚えのようにいうけれど、
私はあれが嫌いだ。

そんなことは言われなくたってわかっているのだ。
後ろ向きより、前向きの方がいいに決まっている。
問題は そんなに簡単ではないような気がするのは、私だけだろうか。
いったいどっちが前なのか、
わからないのは私だけなんだろうか?

        ----最終回のナレーション。(深津絵里)


私の次にこの部屋へ来た人へ。

8月29日 ここに来て一ヶ月。もう限界です。
なにもしないで じっとしていることが人間にとって
こんなに辛いとは思わなかった。
もう どうでも良くなりました。
この部屋から逃げ出すことが出来れば もう何もかもどうでもよくなりました。 
悪いことは言わない。ここに来た方
会社はあなたを辞めさせることしか考えていない。
しかもあなたから辞めるのを待っている。
ここにいる一ヶ月間 いろんなことを考えました。
何故私はここに居るんだろう。
何故私は何もしてはいけないんだろう。
会社は何故 私を選んだんだろう。
ここを出たら私はどうなるんだろう。
家族はどうなるんだろう。親はどう思うんだろう。
そもそも 私って何なんだろう。
私は何のために 生まれてきたんだろう。
何のために生きているのだろう。
人間が生きてゆくってどういうことなんだろう。
そんなことを考えました。
答えはわかりません。
私の次にこの部屋に来た人に
出来れば 出来れば あなたと話がしたかった。
どんな話でもいい 私はあなたと 話がしたかった。 (椎名桔平)

     
「私、こう思うんです。何か困難な状況があったとする。
  おもしろくない。そんなときとるべき行動は二つです。
  夢に向かって努力するか、現状を受け入れるか。この二つです。」(中山忍)      


内容的には

私たちが生まれたころにはオイルショック

私たちが受験の時は、第2次ベビーブームで、受験戦争なかなかうまくいかない。

私たちの年上の人たちは、ディスコやらボディコンやら
そうなれるんだあと思ったら

私たちがその年になってみたら、バブル崩壊。 就職難。

私たちは何もかも自分の描いたような中にはいなかった。

私たちより前の世代と私たちの後の世代の真ん中に挟まれた私たちは…

一体どうしたらいいのだろう…

みたいな感じかな。


出演者
羽村深美(26)…深津絵里
佐伯啓介(35)…椎名桔平
太田千津(26)…水野美紀
浅井次子(26)…中山忍

スタッフ
脚本:岡田惠和
プロデューサー:高井一郎
演出:武内英樹、石坂理江子、澤田鎌作


ひょんなことから出会った26歳の女性3人の友情と恋を軸に、日々悩み、葛藤し、未来に向かって歩いてゆく人々の姿をリアルに描いた作品。東京都内、神奈川県内、三重県内にてロケが行われる。視聴率は低かったが、バブル崩壊後、行き詰まった社会に閉塞感を覚え、悩みながらも前に進もうとする彼女たちへの共感は多く、「TVぴあドラマ 大賞1999」「テレビStation999 最優秀ドラマ」「ザテレビジョン・ドラマ アカデミー賞・最優秀作品賞」の各賞を受賞している。

人物設定や疑問形の各話タイトルなど、1980年代に人気を博した山田太一脚本のドラマ『ふぞろいの林檎たち』を髣髴させるところがあり、これに山田太一の実娘・宮本理江子が演出家の一人として参加したことは興味深い。(Wikipediaより)

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