『銀河鉄道の夜』 九、ジョバンニの切符(後)より

バルドラの野原に一ぴきの蝎がいて
小さな虫やなんか殺してたべて生きていたんですって。
するとある日いたちに見附かって食べられそうになった。
さそりは一生けん命遁げて
遁げたけどとうとういたちに押えられそうになったわ、
そのときいきなり前に井戸があって
その中に落ちてしまった、
もうどうしてもあがられないで
さそりは溺れはじめたのよ。
そのときさそりは斯う云ってお祈りしたというの、

 ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、
そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときは
あんなに一生けん命にげた。
ああなんにもあてにならない。
どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったろう。
そしたら いたちも一日生きのびたろうに。
どうか神さま。私の心をごらん下さい。
こんなにむなしく命をすてず
どうかこの次にはまことのみんなの幸のために
私のからだをおつかい下さい。
って云ったというの。

そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えて
よるのやみを照らしているのを見たって。


『銀河鉄道の夜』 九、ジョバンニの切符(後)より
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表記は 

賢治の見た夢~銀河鉄道の夜~
簡易版

に従いましたが

内容は03・09・06放映の白線流しSP4「二十五歳」(VTR収録)
園子(酒井美紀)の”ナレーション”(朗読の聞き取り)に拠ります。


酒井美紀

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ちあき

  • Author:ちあき
  • 白線同盟駆坂あかね様
     御賜物<KAREN>

     『 0 』 ( 2013.07.05 )

    作曲・MIDI制作 嶋 是一さん



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