あらかじめ失われた恋人達

20041119054249s.jpg




サリーさん、今晩は
今日は、僕の飼い主である
ある夫婦について話したいと思います
二人の恋はとても平凡なものでした
友達をかいして出会い
何となく付き合い始めました
・・も違い、共通の趣味もない二人でしたが、
特にここが嫌いというところがないせいか
つき合いは一年続きました。
普通
こんな恋は終わってしまうのでしょうが
ある時、二人の元にたた一つの奇跡が起こったのです
その日、二人は喫茶店にいました
会うのは、今日で最後になるだろう
言葉にしないまでも、お互い二人はそう思っていました
どちらかが、コーヒー2杯分の伝票を手にしたときが
別れの時だったのです。
自分の役目なんだろう
彼がそう思って
伝票に手を伸ばした
その時です
木枯らしが
木枯らしが吹きました
風に舞い上がって男の手を離れた伝票は
隣の客のテーブルに落ちました
ひとりの老人が座っていました
男が伝票を受け取ろうとしたとき
老人が言いました
ここは私がごちそうします
そう言って
伝票を持って行ってしまったのです
そして
帰るきっかけを失った二人が残りました
男はこれが最後のチャンスだと思って言いました
「僕と結婚してください」
女は答えました
私でよかったら
3年前のクリスマスのことでした
ほんのささいな偶然なのかも知れません
男は何年か後に思いました
あれは奇跡だったんじゃないだろうか
あれを運命と呼ぶんじゃないだろうか
ただ一つ残念なことのは
あの日
あの店で流れていた曲を
女は覚えていて
男は忘れてしまったことです
僕の話はこれでおしまいです
サリーさん、どうか体に気をつけて頑張ってください
ありがとう、さようなら。



世田谷区のポチさんから の おたより 

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ちあき

  • Author:ちあき
  • 白線同盟駆坂あかね様
     御賜物<KAREN>

     『 0 』 ( 2013.07.05 )

    作曲・MIDI制作 嶋 是一さん



ブログ内検索
最近の記事
カテゴリー
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
RSSフィード
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
BGM
BGM 『0』